“なんとなく” という言葉の持つ意味
私たち大人でも普段、何気なしに口にしている口癖は結構あると思います。
そんな口癖のなかからひとつ、“なんとなく”という言葉を取り上げて考えてみます。
“なんとなく”。
これは私たちも日常的に使っています。
“なんとなく楽しい”、“なんとなく気分が良い”とか、“なんとなくしんどい”、”なんとなくスッキリしない”とか。
良いことにもあまり良くないことにも使います。
国語辞書によれば、“なんとなく”の意味はこう書かれています。
“言動などに、はっきりとした理由・目的がないさま”。“明確な理由はないが、漠然と”。
この本来の意味からすると、この“なんとなく”という言葉。生徒達が使うときは、ちょっと危険が多そうです。
例えば、生徒達に「この部分、理解出来た?」と聞くと、「なんとなくわかったぁ」や「なんとなくいけそう」といった答が返ってくることが多々あります。
こんな時です。
「なら、良かった」というわけにはいきません。
この”なんとなく”という言葉を生徒が口にするとき。それは生徒自身、はっきりとは理解できていないと言っているのですから。
ここで「なんとなくでも理解出来ているんなら、後はやっているうちに完璧に理解出来るようになるんじゃないの」と思われた方へ。
そんな方に向けて今回は、この“なんとなく”という言葉に潜む危険性についてお話します。
“なんとなく” この言葉を聞いたら
「なんとなくわかった」や「なんとなくいけそう」という返答は、一見すると、手応えを掴みかかっているプラスの状態のように感じる言い方です。
でも、それは生徒が発している黄色信号、時には赤色信号だということを、周りの大人は気づいてあげなきゃいけません。
先でも言いましたように、“なんとなく”という言葉は本来、明確な理由のない漠然とした状態を指しています。
その意味からすると、生徒達の理解はゴールに近づいている場合もあれば、逆に正確な理解から遠ざかる、致命的な勘違いを起こす場合もあるということです。
確実と言えるレベルで理解出来ていない、やんわりとした状態にある時ほど、要注意です。
「曖昧な理解では納得出来ない」ということから、きっちりと理解出来るまで粘れる生徒は良いですが、そんな生徒は少数派。
殆どの生徒は、「まぁ、だいたいこんな感じやろ!」ってところで、最後の一押しをしないまま、自分なりの解釈で押し切ろうとします。
これがたまたま幸運にも、正確な理解に行き着けた場合は良いですが、大きな誤解や勘違いを引き起こしたら大変です。
その先の学習に悪い影響が及ぶことも、充分にあり得ることです。
それは幸いにして、後からその誤解のあったこと、勘違いしてしまっていたことに気づいて修正したとしても、それまでの影響は大きなものがあるだけにコワイのです。
結論
“わからない”とはっきり認識出来ているところはOKです。
そこで立ち止まれるから。そして再び、“わかった”に向けて取り組むことが出来るから。
けれど、“なんとなくわかった”という状態のときは要注意。
ついつい本人だけじゃなく、周りも取りあえずOKにして流してしまいやすいから。
“なんとなく”という言葉が本人の口から出たら、周りの先生やお母さん、お父さんは要注意。
そこには本人の気づいていない危険が、たくさんあるのですから。
それは生徒さん自身も自覚が必要です。“なんとなく”という言葉が口から出たり、出ていないときも心にその言葉が浮かんだりしたら。
“なんとなく”という言葉の持つ曖昧な状態がマイナス方向に進んでいかないように自覚してください。
そして、“なんとなくわかった”、“なんとなくいけそう”から、“なんとなく”という言葉を取って、“わかった”、“いけそう”にどうすれば持って行けるのか。
そこを考えるさい、まず“なんとなく”に止まっている原因を掴んでください。原因がわかれば解決策を考えられます。
考えても解決策が思いつけないときは、学校や学習塾の先生に聞いてください。
でも聞くのは、解決策です。
“なんとなく”で止まっている時の“原因”を聞いてはいけません。
そこまで甘えると自力をつけるチャンスを失うからです。(「わかる」と「できる」の違いを考える)参照
“なんとなく”の原因をつかんでこれを“解決”。この繰り返しのなかで驚くほど自分の実力がついてきたことを発見する日が来ると思います。
がんばってください!