変化と対応と空回り
例年通り6月に今年度の過去問が発売され、早いもので2ヶ月。
すでに購入されて、中身も確認済みという方も多くいると思います。
そこで質問です!。
自分の目で見て、何か感じることはありましたか?
過去問は、直近の入試問題を分析し、最近の傾向や変化を教えてくれるもの。
例年の出題と大きく違っていた傾向や変化があったところは、当然ながら大々的に取り上げられます。
そうであれば、それを参考にする学生側の心理として、取り上げられた変化にはいち早く対応せねばと考えるもの。
今回は、そんなせっかくの対応が“空回り”にならないようにということについてお話します。
誤りやすいリスニング対策とは
今年度の入試問題にも各教科、大なり小なり何かしらの変化はありました。
そんな変化の中でも、個人的に注目したのがリスニングのスピードの変化でした。
今年受験した教え子たちも、試験会場から帰ってきて開口一番、話してくれたのがリスニングのスピードが大きく変化したことについてでした。
今年は日本語での問題説明の段階から、異常にスピードが速くてかなり動揺したとのこと。
こんな話を先輩や学校の先生から聞かされると、嫌でもそれに対応出来るように練習しようと考えるもの。
でも、ここで強く意識するべき注意点が一つ。
それは、「ハイスピードのものを聞き続ければ、やがては無理なく聴き取れるレベルになる」などと安直に考えてはいけないということです。
リスニングは“慣れ”だけでどうにか出来るものではありません。
ハイスピードのものを聞き続けた後、そこから一段下がるスピードのものを聞けば確かに、ゆっくり聞こえるとは思います。
ですが、それは一時的な話です。
おもりをつけて練習していた人がそれを外したとたんに、一時的に体が軽くなったように感じるのと同じ事です。
永久に軽く感じることは決してないのです。
それに、先ほど「慣れ」という言葉を使ったのですが、私たちは日本人です。
1日のほとんどの時間を日本語を使って生活しています。
数十分、数時間程度の英語学習で「慣れ」を期待するのは厳しいでしょう。
あるべきリスニング対策
リスニング対策と言っても、何か特別なことをする必要はないのです。
単語の暗記をするときには、必ず音声CDを活用しながら音声を聞き、自分でも発音出来るようにする。
長文読解をすときに一度読んだらそれで終わりにするんじゃなく、音読を繰り返すことで発音出来るレベルまでもっていく。
“自分で発音出来ないものは聴き取れない”んです。
だから単語でも文章でも自分で発音出来るようにトレーニングが必要です。
とても地味な努力です。
でも、この地味な努力が最高・最善のリスニング対策であると信じられるか、それを実行出来るかが勝負の分かれ目です。
結論
音声スピードが速くなったら、それに対応しなければいけない。
誰でもそう思います。
しかし、対策(対応)しているようで実は学習が空回っているだけにならないよう注意も必要です。
変化に対しては、“腰を据えた対応”を心がけてください。