“知識偏重型の教育から、思考力を重視した教育へ”
近年、至る所で目にする文言です。
詰め込み教育の弊害として、“思考力が伸びなかった”と考えた結果でしょう。
しか~しです!。
“自分で考える力をつける”。
“知識よりも大切なのは知恵”。
こういった文言に共通するのが、“聞こえだけは良い”ということ。
実際に“何を、どうすればそういった力が身につくのか”を目にする機会は、ほとんどありません。
そこで今回は、思考力を重視する前に押さえておきたい“何を、どうすればいいのか”について、具体的にお話します。
そもそも“思考”とは
思考とは、“経験や知識をもとに、あれこれと頭を働かせること”という意味です。
つまり、そこから考えると知識偏重というのは、思考のために“必要不可欠なこと”で、決して
“妨げになるものではない”ということです。
例えば、新入社員としての入社初日をイメージしてみてください。
会社に着くなり上司から“精一杯、頭を使って思考して、頑張ってください”と言われたとしたしたら、どう感じますか。
おそらくほとんどの人は“どうやって!?”と思うでしょう。
知識も経験もないため、“頭を使って思考しようがない”からです。
しかし、逆に言えば
“思考”とは、知識と経験さえあれば“誰でも必要に応じて無意識にしていること”とも言えます。
誰だって”出来る限りラクをしたい”。
あるいは“やるからには良い結果を出したい”。
そう思って、物事に取り組んでいるはずです。
となれば、知識と経験さえあれば、放っておいてもそのために“考えます”。
つまり思考とは“重視してやるようなことではない”ということです。
学生が“思考力を鍛える具体例”
ただそうは言っても“最近の入試は思考力を重視した作りになっている”と聞くし、やっぱり“思考力をある程度は鍛える必要があるんじゃ”と感じている方も多いと思います。
そこで思考力を鍛えるために、普段の学習で意識すべきことについて、一つ紹介させていただきます。
ポイントは、“問題を解くときに思考するのではなく、知識を身につける過程で思考する”ということです。
詳しく見ていきます
例えば、“ひし形の対角線は、垂直に交わる”という知識を目にしたとき。
これを丸暗記しているようでは、思考力など育つはずがありません。
当然“なぜ、垂直に交わるのか”ということに着目する必要があります。
まず、ひし形の定義(4つの辺がすべて等しい)や、平行四辺形の性質(対角線は中点でそれぞれ交わる)と言った知識を使うことで、ひし形の中に“合同な三角形”を見つけることが出来ます。
すると、合同な図形の性質を使うことで、ひし形の対角線が垂直に交わることを証明出来ます。
このように、一つの性質が成り立つ理由を掘り下げることで、他の性質がいくつか利用されていることを知ります。
そうやって、根本原理を理解しようとする過程一つ一つが“思考力を鍛えることにつながります”。
結論
“思考力を身につけるために思考する”。
知識や経験が少ない時期にこの考え方では、なかなか物事が前に進まず、結果として肝心の思考力も大して身につきません。
大切なのは知識を増やし、経験を積むこと。
そして、日常の“些細な事”に対する取り組み方を工夫すること。
それを意識するだけでも、思考力は“勝手に育っていきます!”