今回は、以前のブログ記事(英文法の学習における“基本姿勢”)の最後に書きました、代表的な文法事項の学習に際する“ポイント”をまとめた“英文法シリーズ”の1回目になります。
英語学習の基本にして最初の難関である“be動詞と一般動詞”について、お話します。
“使い分け”という感覚を捨てる
英語を学び始めて最初に学習するのが“be動詞と一般動詞”。
基本中の基本と言える単元ですが、この段階で早くも英語に難色を示す生徒は少なくありません。
そんな生徒たちの大部分が口にするのが“使い分けや違いが分からない”。
英文法を教える時、生徒たちの口からこの言葉が出ると“マズイ”と思っています。
なぜなら、“使い分けや違いが分からない”というのは、はなから問題を解くことが前提になっているからです。
本来、文法を学ぶ目的は、“言葉のルールにのっとって、表現するための方法を学ぶ”ことです。
そこから考えると、be動詞のあとに一般動詞を学ぶのは、“be動詞を使った文では表現出来ない文章を書くためにはどうするか”を知るためです。
つまり、“使い分けや違いなどを意識する必要は、本来ありません”。
にもかかわらず、それを意識してしまうのは、繰り返しになりますが、問題を解くことが前提になってしまっているからです。
まずは、その“感覚を捨てる”必要があります。
be動詞を使って表現できること
ここで私が普段から、この単元の授業をする時に意識していることについて、お話します。
“表現法を増やす”という視点から、まずはbe動詞についてみていきます。
〈be動詞〉
①I am a student.(私は学生です)このような「~は~です」という形の文。
②I am in Kyoto. (私は京都にいます)
My book is on the desk. (私の本は机の上にあります)このような「~にいます(~にいる)」、「~にあります(~にある)」という形の文。
今回は細かい文法の説明は省略しますが、ここで生徒達に疑問を投げかけます。
“もし、これだけしか表現法がなかったら、どう思うか”と。
考えるまでもなく“めちゃくちゃ不便です”。
「~は~です」、「~にいます(~にいる)」、「~にあります(~にある)」の3つだけで、すべてのやりとりが成立するわけがありません。
“ならば、どうするのか”。
そこで“便利なものがある”という流れで、一般動詞の話に移ります。
一般動詞の“ありがたさ”
「~が好き」や「~を読む」、「~に住んでいる」といった文を書きたい。
そんな時に使うのが“一般動詞”です。
こちらはbe動詞と違って、一つ一つ覚える必要がありますが、一般動詞のおかげで“動作”や“状態”といった部分を相手に伝えることが出来、表現の幅が一気に広がります。
いかにして“気づかせるか”
ここで、以下の例文を見てください。
例)I like baseball.(私は野球が好きです)
何かに気づきませんか?
“好き”という意味の一般動詞が使われた文ですが、日本語訳は「~は~です」という形になっています。
そうすると、生徒たちの頭のなかには「~は~です」の形は“be動詞を使った文じゃなかったの”という疑問が浮かびます。
そのタイミングで“be動詞には、前後の単語(主語と補語)をイコール関係にする働きがある”という知識を伝えます。
そこで今回は“そのパターンではない”ことがハッキリするのです。
このように、生徒たちに覚えてもらいたい“ポイント”は、生徒たち自身に“疑問を抱かせてから”説明するのです。
結論
文法を学ぶ時、“表現法を増やす”という視点から授業を行う理由は2つあります。
1つ目は“問題を解くために覚える”という感覚を持たせないためです。
問題を解くための説明は、“知識の押し売り”になり、“つまらない”、“覚えられない”、“応用が利かない”のドロ沼にはまる原因になります。
2つ目が、生徒自身に“疑問を抱かせる”ためです。
“授業ではこう言ってたけど、この場合はどうなるんだろう”。
こんな風に、生徒たちが疑問に思える“ツッコミどころ”をいくつか意図的に作っておきます。
そうすることで、本当に覚えてもらいたいことに受け身ではなく、“主体的な姿勢”で取り組んでもらうことが出来ます。
ポイントは、生徒たちが“思考するためのお膳立て”をいかにして行うかです。
ぜひ一度、参考にしてください。