助動詞が文に与える“彩り”(英文法シリーズ③)

今回は“英文法シリーズ”の3回目になります。

前2回の記事では、

be動詞と一般動詞(英文法シリーズ①)

現在形と現在進行形(英文法シリーズ②))について書かせていただきました。

これまで同様、“表現法を増やす”をコンセプトに、“助動詞”の授業をする際、私が意識していることについてお話します。

助動詞がないと“どうなるか”

ここまで“動詞の使い分け”や、“時間について”の話を主にしてきました。

ですが、前2回の記事でお話した内容だけでは、“文章の表現にこれ以上幅が出ない”と言えます。

というのも、みなさん“ある事”にお気づきでしょうか。これまでにお話した内容だけでは、基本的に文末が「~です、~ます」といった、“です・ます”の文ばかりになってしまうのです。

日常生活において、“これで充分なはずがありません”

時には“~することができる”や、“~しなければならない”といった文を書きたいと思うこともあります。

けれど、ここまでの知識だけでは“それが書けない”。

そんな人のために、助動詞という“強力な武器があるのです”

ファーストコンタクトで決まる“その後の展開”

例えば助動詞の“can”を教わる時、授業の冒頭でこんな始まり方をしたとします。

「今日は、助動詞のcanについて説明します。canと聞くと、瞬間的に頭の中で“~できる”という訳語が浮かぶ人も多いかも知れません。」

ですが、“can=~できる”だと思っている人は大間違い

「canには、~があり得る(可能性)、~してもよい(許可)、~してもらえますか(依頼)などなど、~できる(能力)以外にもたくさんの用法があるのです。」

これを聞かされた生徒たちの反応を“想像してみてください”。

授業の冒頭部分でこれを聞かされた生徒たちのほとんどは“引いてしまいます”

“覚えることが多い”のと“細かな使い分け”

これは、生徒たちが嫌う“二大メンドクサイ”

こんな話を冒頭部分で前面に押し出され、その後“真剣に話を聞いてくれる生徒”は、ほとんどいないでしょう。

もちろん、だからといって生徒たちの顔色をうかがって、“教えるべきことをカットしたり”、“覚える量を減らしたり”するわけではありません。

要は“手順の問題”です。

結果と知識を結びつける“働きかけ”

はじめから“あれも、これも”と知識を並べてみても、生徒たちには“入ってきません”

例えば、先ほどの例に挙げた助動詞の“can”。

動詞の前に置くことで、“~できる(能力)”という

意味を表現出来るようになります。

これが、たいていの人がcanを見たときに真っ先に思い浮かべる知識。

これだけでも表現法は増えていると言えるのですが、ここでもう一つ例文を見てもらいます。

例)Dogs can bite your hand.(犬は人の手を噛むことがある)

これを見た生徒たちは、こう思うはずです。“噛むことができるじゃないの”と。

でも、よく考えてください。

“犬は人の手を噛むことができる”なんて言い方を普段しますか?

明らかに違和感があります。

そういうふうに生徒たちに感じさせたタイミングで、解説を入れていきます。

解説

犬には鋭い歯があります。

飼い主にもかみつこうと思えば、いつでも噛みつける“能力”がある。

つまり、その“能力”をもってして、噛みついてくる“可能性がありますよ”ということを伝えたい。

だから、この場合は“噛むことができる”よりも、“噛むことがある”のほうが表現として、“自然”というだけのことなんです。

結論

助動詞のように“文章に彩りを与えてくれる文法事項”は、その反面で、“覚えることが多い”とも言えます。

だからこそ“手順が大切”

はじめから“知識ありき”の伝え方ではなく、核となる部分を押さえてから、いかにしてそこに“枝葉をつけるか”

今回の内容が、その参考になればと思います。

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