課題の量と出し方
学習塾で生徒たちに指導する中で、大きなポイントの一つが“課題の量と出し方”です。
課題を出すと生徒たちは、当然ながら“嫌がります”。
それをやらせるのは一苦労なんです。
ですが、考えてもみてください。
生徒たちとて、毎日それなりに大変な日々を送っています。
朝早くから部活の朝練に行き、そこから授業を夕方まで受け、その後また部活動。
クタクタになってようやく帰宅出来たかと思えば、息つく暇もなく今度は塾へ。
ここまで来てようやく一日の終わりが見えてきますが、あいにくとまだ終わりません。
今度こそ帰宅出来たと思ったら、次は学校や塾で出された課題に追われます。
こうやって見ていくと、生徒たちも楽な日々を送っているわけではないと、常々思ってしまいます。
けれど、物わかりの良い大人を演じてばかりもいられないのが、この仕事の“ツライところ”。
そこで今回は、いかにして生徒たちに“やるべきことに取り組ませるか”という事について考えていきます。
日常的にありそうな具体例を一つ挙げてみます
例えば、ある生徒に4ページ分の課題を出したいと考えていたとします。
一般的に見れば、決して多い量とは思えませんが、そこは勉強嫌いの生徒のこと。
これしきの量でも、やるのを渋ってくるとします。
するとこんな時、はじめから“4ページ分の課題を出す”と言えば、おそらく嫌がります。
でも、こちらとしてもそれで引くわけにもいかない。
そうなってしまうと、もう“やれ”、”やりたくない”の押し問答になり、物事が前に進みません。
そこでどうするか。
一工夫で“印象を変える”
こんな時、私はよく“通販番組のやり方”を取り入れています。
ご存じの方も多いと思いますが、通販番組では必ず最初に提示された値段から値下げされますよね。
恥ずかしい話ですが子供の頃、あれが不思議でしょうがなかったんです。
“そんなに値下げして大丈夫なのか?”と。
今にして考えると、なんとも“オメデタイ奴”なんですが、この原理が課題を出すときに“使えるんじゃないか”と感じたんです。
要は相手に“ラッキー”と思わせるのがポイント。
通販番組の値段設定と同様、課題のページ数も全てこちらで“いじれる数字”です。
そこで、4ページ分やらせたいのであれば、はじめに倍の8ページ分を提示する。
当然、ごねる生徒と話し合いになり、互いの妥協点という形で、本来やってもらいたかったページ数に落とし込んでいきます。
すると、本人も“多少ラッキー”と思いますし、歩み寄ってもらった印象から、“ある程度、納得している状態”にもっていけるのです。
結論
こんな話をすると、“甘っちょろいことを言うな”と思う方もいるかもしれません。
ですが、大人であっても仕事終わりの帰宅後、“机に向かって勉強する”というのは、なかなか大変なことです。
その大変なことを生徒たちに強いる立場にいるからこそ、課題の量や出し方には最大限の工夫をし、それに取り組む生徒たちへの“リスペクトの気持ち”を忘れてはいけないと思っています。