理科の“置き換えシリーズ”2回目となる今回は、中学2年生で学習する“電流の性質とその利用”という単元からになります。
2年生の単元が続きますが、ここも苦手とする生徒が多い単元の一つ。
その最大の理由は、”やはり目に見えない”こと。
電流や電圧を説明されても、いかんせん目に見えないから“ピンとこない”。
そんな生徒は“多いはず”。
そんな時のための“置き換えです”。
今回は、2種類の回路において、“そこを流れる電流”と“加わる電圧”についてみていきます。
まず一つ“知っておいて欲しいこと”
今回に限らず、“目に見えないものに関する説明”を理解しやすくするための“置き換え(たとえ話)”は、ネットで検索するとたくさん出てきます。
生徒たちからすれば、“どれが正しいんだろう”なんて思うこともしばしば。
そんな時、知っておいて欲しいのが、たとえ話は“あくまでたとえ話”ということ。
一つの話ですべてを説明しきろうなんて頑張り方をすると、必ず無理がでます。
そこは臨機応変にわりきって目先の理屈に納得するための“手助け”という位置づけを“見失わないようにする”必要があります。
それを踏まえて、ここから具体的な話に入っていきます。
都合良く“置き換え”を利用する
電流と電圧について、以下の知識に対する“置き換え”を紹介します。
(電流・・・I 電圧・・・Vとする)
(直列回路の場合)
I₁=I₂=I₃
V=V₁+V₂
(並列回路の場合)
I=I₁+I₂=I’
V=V₁=V₂
回路に流れる電流や、加わる電圧の数値を“どう取り扱うか”のルールですが、“どっちがどっちやったっけ”の定番です。
苦手な生徒は”なかなか覚えられない”。
そこで、私はあえて一つの“置き換え”ではなく、電流と電圧をそれぞれ“別の置き換え”で説明します。
電流の場合は“人”。
回路をトラックコースに見立てて、そこに100人の人が一団で歩いていたとします。
直列回路の場合は一本道なので、その一団がどこを歩いていたとしても“100人のまま”。
だから、“I₁=I₂=I₃”という式が成り立ちます。
これが並列回路になると、道が途中で二手に分かれます。
一方の道に40人進んだとしたら、もう一方の道には60人が進むことになる。
けれど、道はまた合流するので、結局もとの“100人に戻る”。
だから、“I=I₁+I₂=I’”という式が成り立つのです。
どうでしょうか。
何となく“絵”でイメージが浮かぶのではないでしょうか。
続いて電圧の場合は、“水と水車”に例えます。
当たり前ですが、平らなところでは、水は流れません。
水は傾きがある場所で、高いところから低いところに流れます。
この高さの“差”を電圧と考えてください。
つまり、高さが高くなればなるほど、電圧は“大きくなる”ということです。
直列回路では、1本の水路に2つの水車があることになります。
すると、ある高さ(電圧)からの“水の勢い”で、2個の水車を回さなくてはなりません。
だから、“V=V₁+V₂”という式が成り立ちます。
これが並列回路となると、もとの高さで2つの水路に枝分かれし、それぞれの水の勢いで水車2個をいっぺんに回すことになる。
だから“V=V₁=V₂”という式が成り立つのです。
結論
こうした“置き換え”の話は、教科書に載っている説明だけでは理解できず、このままでは“問題演習に移れない”という人に向けたお話です。
そのため、注意してもらいたいのは、あくまで“たとえ”ということ。
かけ算の計算をする時に、いちいち“かけ算の性質”を頭に置きながら計算することがないように、問題を解くときにこのような“たとえ”を意識したりはしません。
理屈を理解する“手助け”となる話を“読む”という行為と、問題を解けるようになるための“演習を重ねる”という行為は別物です。
それだけは決して忘れないようにしてください。