高校入試前は、当然にやっている過去問演習。
これを定期テスト前にやっている生徒さんも少なくない。学習塾に通ってると、学習塾サイドが問題を用意してくれたりする。
前年の問題を、翌年のために生徒さんから収集して。
そんな試験前に多くの生徒さんがやる、過去問演習のメリットは大きい。
でも、デメリットも劣らず大きいというのが、今日のお話。
定期テスト前、テストに備えて勉強しているA君の例。
塾の先生からもらった定期テストの過去問を解いてみると、結果は40点。
数日後、2度目のチャレンジで60点。
さらに数日後、3度目で70点にアップ。
もう一息だとばかり100点めざして、またまたチャレンジ。
A君のような例は、意外とよく聞いたりします。
そして、そんな話を聞くたびに思うこと。
それは、過去問はやり方を間違えると、メリットどころかデメリットの方が大きくなると。
それはなぜか?
もともと「テストは100点満点を狙うものではない」というのが大前提にある。
テスト問題の作問者は、極力100点をとれないように問題を作ろうとしている。
この前提をはき違えると、A君のような頑張り方は、とても危ないものになります。
定期テストは学年の生徒全員、高校入試なら県下の受験生全員が受ける。
当然ですよね。
そうすると、とんでもなくデキル子もいれば、あまりデキナイ子もいる。
その中で作問者は平均点を意識しながら問題を作ります。
そのために、デキナイ子でも正解して欲しいと思うような基本問題を入れる。
一方で、デキル子どうしの中でも差がつくことが望ましい。
そのためにデキル子といえども容易に解けない問題も入れる。
結果、問題は幅広く出題されるのです。
このことからA君の例に戻ると。
1回目の点数は40点。
すると、この点数がおそらくA君の現時点での実力です。
この実力でデキル子でも容易に解けない難問を、本番のテストでとれるか。
これは「ノー」でしょう。
過去問の繰り返し演習の危険性、デメリットはここにあります。
同じ問題を繰り返し解くことで答を覚えてしまっている。
ほとんど問題を読まなくても答を書けるくらいに。
これは典型的な「練習のための練習です」。
過去問は自分の目標得点に達するのには、この後、どこをどれだけ取れるようにしないといけないか。
試験本番で、時間内に目標の得点を確保するのに、どこを取って、どこを捨てるか。
それを確認するという意識でとり組めば、とても有効で、メリットの大きいもの。
A君の頑張りが確実に成果に結びつくように、しっかりとこの意識を持って勉強してくれることを、心から願っています。