家庭内で教えるとき
コロナ感染症による休校開けの学校では、例年にないスピードで授業が進んでいる。
そこには、ついて行けない生徒さんが一定数、出てくるのは事実。
そこで小学生であればお父さん、お母さんが家庭内で教える機会が増えるかも。
そんなとき、「決してやってはいけないこと」を、算数の文章題を例に、お話します。
小学生も高学年の文章題になると、大人からみれば、方程式を使えば楽に解けるな、という問題が多くなる。(逆に大人からすると、方程式を使わない解き方のほうが、今ひとつわからないことが多いかも。)
そんな時です。
楽に解ける方法だからといって、不用意に先取りさせてはいけない、というのが、今日のお話です。
例題:えんぴつ3本、消しゴム2個を買ったら900円でした。消しゴムはえんぴつの1.5倍の値段です。えんぴつ1本の値段はいくらですか。
消しゴムはえんぴつの1.5倍の値段だから、消しゴム2個でえんぴつ3本分。
えんぴつ3本と消しゴム2個は、えんぴつ3本とえんぴつ3本と同じになる。
よって、えんぴつ6本で900円だから、えんぴつ1本は150円になる。
これを方程式で解くと、求めたいえんぴつ1本の値段をx円として、式を立てることになる。
式)3x+2×1.5x=900
先ほどの解き方にくらべると、ごちゃごちゃした過程がなく、方程式の計算方法さえ分かっていれば、断然楽な解き方のように思えます。(実際に楽です。)
しかし、これを「楽なやり方だから」という理由でやらせては、絶対にいけません。
楽と分かっていながら、小学校で方程式を学習しないのは、それなりに理由があるからです。
それなりの理由とは?
上の二つの解き方において、大きな違いとは何でしょう。
中学の(方程式)は、未知(上の問題では、えんぴつ1本分の値段)のものを、とりあえず文字で表すことで立式して問題を解いていく。
問題を解く上で、現状わらない部分はいったん文字に置き換えて進めていけばいいじゃん、というスタンス。
それに対して小学校の場合は、問題を解くにあたって状況を整理し、分かったことを使って次の数字を求める。
そして最終的に答にたどり着くといった考え方です。
つまり小学生の間に重要視されているのは、問題文から問題の内容を理解し、状況を整理して解答までのプロセスを考えていくという力です。
ここで方程式を使ってしまうと、この部分がスッポリと抜けてしまいます。
その結果、公式に当てはめて解くだけの機械的な処理の仕方しか身につかず、少し問題のレベルを上げられると、たちまちお手上げになってしまうのです。
「楽なやり方」のこわさ
算数に限らないですが、積み上げ式の教科は先に進んだとき、もっと楽な方法があることが多いです。
ただ、「楽なやり方」は安易に触れてしまうというのは、こわいです。
考える癖がつかなくなったり、応用問題に対応出来なくなるなどの弊害が出てきます。
子供さんに解き方の説明をしているとき、反応が鈍かったりすると、つい「楽なやり方」を教えてしまいたくなるかもしれません。
でも、そこはグッとガマンしてください。
子供さんの真の成長を願って、安易な選択をしないように、くれぐれも注意です。