今、説明した内容は、生徒たちにとって“どのくらいの重要度(あるいは優先度)なのだろう”。
ふと、こんな風に思うことがあります。
もちろん、重要度が高かろうが低かろうが、やらなければいけない事に変わりはありません。
けれど、それは指導者側の“理屈”であって、我々大人でも、自分の中で重要度が低いと思うことを学ぶのは“苦痛”です。
そこは子供であれば尚更です。
そこで今回は、理科に出てくる“ある知識”の説明の仕方を題材に、これまでとは少し違った“置き換え”の仕方で、このことについて考えていきたいと思います。
“蒸留”という知識を例に
“蒸留”という言葉をご存知でしょうか。
中学1年の化学で習う“混合物を分離・濃縮させる操作”の一つです。
今回は、この“蒸留”の説明の仕方を例に、話を進めていきます。
こんな説明をしたとしたら
定番の説明が“水とエタノール”を使ったものです。
水とエタノールが混ざった状態から、“沸点の差”を利用して、“それぞれの物質に分ける”というもの。
興味を持てる生徒からすれば、非常に“ためになる話です”。
ただ、苦手な生徒には“まるでピンときません”。
その原因は、説明の仕方ではなく、説明に使った例にあります。
理科嫌いの生徒たちは、“水とエタノールが混ざった液体をそれぞれの物質に分ける”なんて場面に、まったく興味が持てません。
興味が持てないという事は、同時に“疑問”も持てないということ。
これでは“伝わりません”。
では、どうすれば良いのか。
より身近な話で説明する
まずは、生徒たちにとって、より身近な話を使って説明することで、“使える知識”という感覚を持たせる必要があります。
例えば、今回の場合なら“海水を飲むための方法”を例にします。
当たり前ですが、そのままでは“しょっぱくて飲めません”。
これを飲めるようにするには、どうしたら良いのか。
海水を“そのままでは飲めない”ことは誰でも知っているので、当然、“答が気になるところ”です。
こんな風に、生徒たちに自然な形で“疑問”を持たせることを意識します。(主旨から外れるので、ここでは具体的な方法についての記述は省略します。)
もちろん、沸点の差を利用した“水とエタノールの話”も、しっかりと理解しなくてはいけません。
ただ、理科が苦手な生徒を教える時に大切なのは“順番”です。
まずは、身近な話題で“取り組みやすくする”。
そうすることで、生徒たちの中の“知識の重要度”を少しだけでも上げることができます。
結論
今回は、説明する知識自体の“置き換え”ではなく、説明にあたってのシチュエーション自体の“置き換え”を紹介させていただきました。
せっかくの便利な知識も、生徒たちにとっての重要度が低ければ、定着するまでに時間がかかります。
“知識の重要度”をいかに高めるか。
こういった部分も、考え続けていきたいと思います。