伝え方で変わる“知識の重要度”(理科シリーズ⑦)

今、説明した内容は、生徒たちにとって“どのくらいの重要度(あるいは優先度)なのだろう”

ふと、こんな風に思うことがあります。

もちろん、重要度が高かろうが低かろうが、やらなければいけない事に変わりはありません。

けれど、それは指導者側の“理屈”であって、我々大人でも、自分の中で重要度が低いと思うことを学ぶのは“苦痛”です。

そこは子供であれば尚更です。

そこで今回は、理科に出てくる“ある知識”の説明の仕方を題材に、これまでとは少し違った“置き換え”の仕方で、このことについて考えていきたいと思います。

“蒸留”という知識を例に

“蒸留”という言葉をご存知でしょうか。

中学1年の化学で習う“混合物を分離・濃縮させる操作”の一つです。

今回は、この“蒸留”の説明の仕方を例に、話を進めていきます。

こんな説明をしたとしたら

定番の説明が“水とエタノール”を使ったものです。

水とエタノールが混ざった状態から、“沸点の差”を利用して、“それぞれの物質に分ける”というもの。

興味を持てる生徒からすれば、非常に“ためになる話です”

ただ、苦手な生徒には“まるでピンときません”

その原因は、説明の仕方ではなく、説明に使った例にあります。

理科嫌いの生徒たちは、“水とエタノールが混ざった液体をそれぞれの物質に分ける”なんて場面に、まったく興味が持てません。

興味が持てないという事は、同時に“疑問”も持てないということ。

これでは“伝わりません”

では、どうすれば良いのか。

より身近な話で説明する

まずは、生徒たちにとって、より身近な話を使って説明することで、“使える知識”という感覚を持たせる必要があります。

例えば、今回の場合なら“海水を飲むための方法”を例にします。

当たり前ですが、そのままでは“しょっぱくて飲めません”。

これを飲めるようにするには、どうしたら良いのか。

海水を“そのままでは飲めない”ことは誰でも知っているので、当然、“答が気になるところ”です。

こんな風に、生徒たちに自然な形で“疑問”を持たせることを意識します。(主旨から外れるので、ここでは具体的な方法についての記述は省略します。)

もちろん、沸点の差を利用した“水とエタノールの話”も、しっかりと理解しなくてはいけません。

ただ、理科が苦手な生徒を教える時に大切なのは“順番”です。

まずは、身近な話題で“取り組みやすくする”

そうすることで、生徒たちの中の“知識の重要度”を少しだけでも上げることができます。

結論

今回は、説明する知識自体の“置き換え”ではなく、説明にあたってのシチュエーション自体の“置き換え”を紹介させていただきました。

せっかくの便利な知識も、生徒たちにとっての重要度が低ければ、定着するまでに時間がかかります。

“知識の重要度”をいかに高めるか

こういった部分も、考え続けていきたいと思います。

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